HSPが人を見下す心理と「他人を馬鹿にしている」と思われてしまう理由は？

HSPとは、生まれつき感受性が強く、人よりも敏感な性質を持つ人のこと。「繊細さん」とも呼ばれ、全人口の5人に1人は該当するとされています。

※正式には、Highly Sensitive Person（ハイリー・センシティブ・パーソン）

「自分はHSPです」

HSP（繊細さん）とセットで語られるのは、「傷つきやすさ」や「生きづらさ」。他人の機嫌に敏感で、自分もそれに引きずられてしまう…。

その一方で、「HSPは人を見下す」「非HSPの人にマウントする」との声も聞こえてきます。

今回は、HSPの人が「人を見下す」心理を深掘り。他人を馬鹿にしているように見える理由や、HSPの人がが他人をマウントするときの対処法をまとめました。

HSPの人が「人を見下す」心理とは？

HSPの人で、「人を見下す人」なんて…いる？

そりゃあ、いますよ。だってHSPは「感受性が強い」だけで、性格の良し悪しとは関係ありません。

感じの悪い人も、当然います。

ただしHSPの特性が心理状態に影響し、「生きづらさ」を感じやすいのも事実。

それが「人を見下す」行動に繋がりやすい現状もあるか…。

ここでは、HSPが他人との人間関係で感じる疎外感や不安など、人を見下してしまう心理状態を深掘りします。

生きづらさを抱えて自己肯定感が低い

HSPの別名は「繊細さん」。

音や光、匂いなどの環境刺激はもちろん、人間関係で生じるちょっとした変化にも敏感です。

ところで「特殊清掃」という仕事をご存知ですか。

ざっくり説明すると、「ゴミ屋敷・ゴミアパートを片付ける」作業のこと。

そこには「自宅で亡くなって、腐敗した状態で発見された方の自宅」も含まれます。

ものすごい刺激臭に、繁殖した微生物やカビ、ホコリ、腐敗した生ごみ…。

もちろん重装備のマスクをしないと、自分の呼吸器がやられます。

と、HSPだと主張する同僚が説明してくれました。

え、えーと？

じゃあ、普通に生きている私は

マスクなしで特殊清掃OKの「鈍感」なやつ

ま、若干イラっとしますよね。こっちは。

それを感じ取った同僚。

なに、それ。

「わかってくれる人」とだけ付き合いたい心理

私がよくよく観察したところ、HSPの人はこんな諦念を抱えています。

繊細じゃない人（つまり非HSP）には、私の辛さはわからない

そしてHSPの同僚は言うのです。

「わかってくれる人とだけ付き合いたい」

それを非HSPの人間に言うのって、どうよ？

気持ちはわかりますが、「わかってくれる人だけしかいらない」心理は排他的よね。

他人から見れば、HSPが自分たちを見下しているように感じられるリスクは…

じゃあさ、HSPの人だけで固まって楽園を築けばいいじゃん？

ところが、それはそれで歓迎できない心理がHSPの人にはあるようで…。

HSPではない人が羨ましい心理

HSPの人は、その感受性の強さと繊細さがゆえに、生きていくだけで余分なコストがかかります。

金銭的なことだけでなく、「気疲れ」「他人の不機嫌に引きずられる」など精神的なコストも大きい。

HSPの人は、非HSPを羨ましく感じる

つまり、こういうこと？

同僚（HSP）にプレゼンしましたら、

「そんなデリカシーのない話ができるアンタは、完全に非HSPだよ」

悪口ばかり言う人はカワイソウな人と感じる

HSPの人は、悪口や陰口を言う人たちが苦手です。

それどころか、「本当は自分に自信がないんでしょ？」と哀れみさえ感じています。

非HSPなら話はそれで終わりですが、HSPの場合は「続き」があるのです。

職場の昼休み、悪口・陰口ばかり言うグループと同席してしまったHSPの人の話をします。

で、悪口大会の輪から解放された後、HSPの人には「もやもやする気持ち」が残ります。

それでつい、別の人に言ってしまうのですよね…。

結果として、「人を見下してるの？バカにしてるの？」と思われちゃいますよね。

悪口大会に参加しないで、スマホでも見ていればいいのに。

そんな「空気を読めない行動」は、HSPとしては耐えられない

同僚（HSP）のAさんのコメントでした。

繊細な自分に比べ、大らかな人がアホに見える

HSPとは、あらゆることに繊細な人。

だからこそ、大らかで鈍感な人を「理解できない」と感じる傾向があります。

大雑把な性格の私に、「悩みはないんでしょ？」って聞いてくるのは

だいたいね、悩みのないヒトなんています？

思わず、「悩みばっかり数えて、今ヒマなの？」と同僚（HSP）に言いましたら

ゆっくりとした口調で返ってきました。

憐れむような表情だったのは、たぶん気のせいではない。

HSPの人とこんなやり取りをして、「バカにされた」「見下された」と感じる人はいるでしょうね。

HSPが「人を見下す」と思われてしまう理由～他人を馬鹿にする行動がウザい？

HSPが人を見下すと思われる背景には、感受性が強い特性があります。

そう、HSPは別名「繊細さん」。

繊細さがゆえに取ってしまう行動に対し、周囲から「ウザい」と評価されがち…なのは

本来は長所になり得るのに、この繊細さが誤解を生むことも少なくない。

そんなHSPあるあるな行動は、たとえばこんなことです。

細かいところまで、他人の欠点に気が付く

HSPは、他人の微細な表情や言動に敏感。だからこそ、他人の欠点や小さなミスにも気づきやすいです。

…な～んて、わざわざ言いに行く同僚（HSP）。怒られたばかりの後輩に、です。

細かいことに気づき、「良かれと思って」それを指摘する行動こそ、HSPが他人を見下すと思われる一因。

神経質や小うるさいと捉えられ、結果的に他人からウザいと感じられてしまう。

HSPの人自身は、単に周りの人間関係や環境に対して気を配っているだけ。

それなのに。

「自分は特別だと思っている」ように見える（非HSPへマウント）

自分の繊細さを理解して、受け入れて欲しい。

それはHSPの人と話していると、時にやんわり、あるいはハッキリ感じられます。

だけど受け取り手によっては、「自分は特別だと思っている」という印象を持ちます。

特に、非HSPの人と比較して、自分の感じ方や反応が異なることを強調するとマズイ。

HSPの人に言わせると、自尊心を保つために仕方がない。

無意識の防衛機制だし、それをするなって言われても…。

今の世の中、HSP以外でも「本当の自分をわかってほしい」人ばっかりだから。

それを態度に出すかどうか、その違いしかないです。

自分の価値観を曲げず、「繊細だから」と特別扱いを求める

HSPの人は繊細で、そうでない人より生きづらい。

それは事実として、「非HSPの人には譲ってほしい（配慮してほしい）」と見えるような態度は損です。

この「繊細だから」という理由で特別扱いを求める態度は、自分の価値観を他人に押し付けているように映りがち。

人を見下しているとか、バカにする行動と受け取られるケースもあります。

自分の感じ方を理解してもらいたいから、詳しく説明しているのに？

同僚（HSP）が納得いかない表情をしていますが

悪口や陰口を言う人に同調する

なのに、いつも職場の悪口大会に参加しているのは

陰口を言う人に同調して、けっこう楽しそうに相づち打ってるじゃん。

えー、そんなの外からはわからないよ。完全に、集団に溶け込んでいるよ。

「悪口は苦手」と言いながら、HSPは人を見下すのね、感じ悪いと思われる原因です。

ストレスが溜まると立場の弱い人の前で泣く

HSPの人は、泣き虫ちゃん。

優しくされると泣くし、怒られても泣く。ストレスが溜まると、感情を抑えきれずに泣く。

それは構わないんだけど

上司に怒られて、その場で泣く（みんな見ている）

この場合、立場が弱いのは上司です。パワハラ評価のリスクもあるし、泣かせるつもりもないし。

そもそも怒られたのは、誰のせい…？

繊細なHSPの人が、感情が抑えきれないくらいストレスが溜まって、泣いちゃうことは仕方がない。

ですが、自分の立場を有利にするために「泣いた」と思われるのは、本当に損です。

人を見下しているとか、邪推されちゃう。

HSPが人を見下すときの対処法～気づかせるための魔法の言葉

HSPの人が人を見下す行動をするなら、そこには自身が感じる生きづらさや繊細さが背景にあります。

でも、だからと言って

「じゃあ、仕方がないね」

…って、笑って許してもらえないのが社会人。

そんなの学生時代まででしょう。

ここでは、他人を見下す傾向にあるHSPの人へ、その行動に気づかせ、改善するための具体的な対処法を紹介します。

職場でHSPの同僚や後輩に困ったとき、すぐ使える方法です。

孤立させないように声をかける

現実としてHSPの人は、職場で孤立しがちです。

それをHSP本人は「生きづらい」と訴え、周囲の人は「あの人はめんどくさい」と文句を言います。

孤立するきっかけのひとつは、HSPの人が自分の繊細さや他人との違いを強く意識して、周囲に色々とお願いすること。

そして孤立し始めると、HSPの人（一部）は頑なになって、人を見下すような行動を取り始める…。

そうならないHSPの人もいるけど、もし孤立し始めたら早めに対策を。

すぐできてコストゼロな方法こそ、「声をかけること」です。

本人が言わなければ、悩みを無理に聞き出す必要もありません。

誰かひとりでも、日常的におしゃべりする相手がいれば、意外と周囲もそれに合わせてくれるものです。

自分が見下されたら距離を置く

もしあなた自身がHSPの人に見下されたと感じたなら、一時的に距離を置くことが有効です。

その態度は良くないと、はっきり指摘するべきじゃない？

お忘れですか、HSPとは「繊細さん」です。

非HSPが放つキツメの言葉は、想定以上の破壊力でHSPの心を粉砕するのです。

こっちの「豆鉄砲」は、HSPにとって「核弾頭ミサイル」。

HSPの人が泣き出したら、悪者判定されるのはあなたの方です。

「言葉で説明してくれない？ちゃんと聞くから」

HSPの人が「人を見下す行動」を取ったとき、それ自体を責めても意味がありません。

その背後にある心理や事情を理解するために、本人の「感じていること」を聞くのが早いです。

「言葉で説明してくれない？ちゃんと聞くから」

まずは、こんな魔法の言葉をお使いください。

HSPの人は、自分のHSP気質について熱心に勉強しています。

その成果を存分に披露することこそ、HSPの人の癒しになります。

HSPの人といい関係を築くには、「わかってくれる感」をこちらが提供できるかがキーなのです。

「HSPは病気じゃない…もんね？」

HSPは生まれつきの特性で、治療するべき病気ではありません。だから病気扱いをするのは間違いで、HSPの人もそれを嫌がります。

でも「単なる個性じゃん」と声をかければ、

なんて、めんどくさい人。

だけどそこを突くのも、対処法としてはアリです。

「HSPは病気じゃない…もんね？」

この魔法の言葉は、HSPの人と目線を合わせてゆっくり言うこと。そして言い終わった瞬間に、ニッコリ微笑むと効果が大きいです。

病気じゃないけど、病気になったときみたいに今は辛い？

人を見下す行動をしていることは、HSPの人もそれなりに気が付いています。

そんな自分が嫌いだけど、そうさせる周囲にも問題がある…みたいな認識。

辛い気持ちを受け止めつつ（「わかってくれている感」）、「そのマウントしている態度、何とかしようよ」を優しく柔らかく伝えたい。

そのとっかかりには、「病気じゃない」認識の確認が有効です。

HSPの人が「人を見下す」クセを止める方法

HSPの特性は、あらゆる刺激に敏感なこと。自分を守るために「人を見下す」ことをやめられないとしても、周囲の冷やかな視線にも気が付いてしまいます。

そしてさらに傷つくのがHSP「あるある」。

あなた自身がHSPだったとして、人を見下すクセに苦しんでいるなら、ここで紹介する方法を試してほしいです。

マウントしていることを自覚する

人を見下すという態度は、「マウントしている」と表現される場合もあります。

マウントするとは、自分が優位であると周囲や相手に示そうとする行為。

思っていても、口に出して言ってはダメ～！

これが「自分の態度に出ている」と気が付けたなら、それが人を見下すクセをやめる第一歩です。

「私、HSPだから」という口ぐせをやめる

複数の芸能人が公表したこともあり、HSP（「繊細さん」）の知名度はグンと上がりました。

ネットニュースでも見かけるので、

「私、HSPだから…」

このひとことで、察してくれる人も多いです。察してくると楽ちんで、いいですよね…。

もし「私、HSPだから」が口ぐせになっているなら、これイエローカードです。

意図的でないにしても、言われた相手は「特別扱いを要求された」と感じやすい。

それが重なれば、「自分を特別だと思っていて、人を見下す」と簡単に誤解されます。

自分の本音を深掘りする（…寂しい？）

HSPの人が「人を見下す」態度を取る背景には、寂しい気持ちや孤独感が隠れていることが多いです。

自分が孤独だと認めるのは、愉快な作業ではありません。

プライドはズタズタだし、母親の顔が浮かんで

まずは、深呼吸です。

「あなたが孤独」なのは、何か理由があるはずです。

その分析を始めるためにも、全ては自分の本音を深掘りするところから。

それから原因と対策を探すのが合理的です。

自分自身を否定せず良いところを探す

HSPは繊細さん。

感受性が強いことは単なる事実で、それ自体に良い悪いはありません。

今は「人を見下す態度」の原因になっているHSPの特性も、方向性を変えれば、全然違う印象ではありませんか。

ストレスが溜まっていたら仕事を休む

HSPの特性「強い感受性」は、ストレスといつもお友達。

胸が大きい女性は肩こりになるし、目がぱっちりした美人は年を取るとシワだらけ。

それと同じで、これはもう、

HSPの自覚があるなら、ストレス対策は必要経費。

我慢に我慢を重ねて、自己防衛のために人を見下す態度を取るくらいなら、仕事を休んでください。

そもそも、そんなにストレスが溜まる職場。あなたに合っていないのかもしれません。

職種を変えなくたって、選択肢はいろいろあるじゃない。

今の職場で、いつまで消耗するつもりですか。

HSPで「人を見下す」人は当たり前に存在する

HSPの人が「人を見下す」行動は、現実には当たり前にあります。

そもそもHSPという概念はまだ新しく、データやエビデンスの蓄積は不十分です。

その一方で、商売のネタにHSPを利用する動きもあり…

HSPは「感受性が強い」という特性があるに過ぎず、人格や性格に直接関係するわけではありません。

なのにHSPは優しい性格と声高に主張する人には、ちゃんと思惑があるのです。

大人の世界では。

HSPは繊細だが「人格者」とは限らない

HSPであることと、「人格者で優しい人」であることはイコールではありません。

繊細さはHSPの特徴の一つですが、それは性格の良し悪しとは連動しないです。

5人に１人はHSPだとする統計もあり

確率論的に考えて、他人を見下す傾向がある人もいれば、非常に思いやりがある人も、どっちもいるでしょう。

HSPの人は優しい

そんなイメージ、HSPの当事者にとっては迷惑な話。

ちょっと意地悪しただけで、「人を見下している」とか「バカにした」とか

少しの意地悪も許されない毎日、ホントしんどすぎ。

HSPをウリに稼ぐインフルエンサーやユーチューバーもいる

でも待って！HSPの人って、優しくて繊細で、傷つきやすいんでしょ？

そのイメージ、人為的に作っている人たちがいます。

最もわかりやすいのは、一部のインフルエンサーやユーチューバーですね。

試しに、「HSP　ユーチューバー（あるいはYouTube）」と検索してください。

HSPの特性を前面に出して活動し、ファンを集める人物（アカウント）がヒットするはず。

ほとんどのアカウントは、再生回数に応じた広告収入、もしくは投げ銭などで収益化されています。

そんなユーチューバーの一部は、こんなことを主張するわけです。

別にいいけどさ。

その「自分は特別アピール」を実世界でやったら、そりゃあ反感を買うでしょ。

他人を見下している行動、そのものじゃないですか。

意地悪なHSPの人も当然存在する

HSPネタで稼いでいるユーチューバーやインフルエンサーには、熱狂的なファンがついています。

なかには、「それ自業自得でしょ」的な悩み相談を大真面目に書き込む人もチラホラ。

もちろんユーチューバーは優しく、こう返信します。

「HSPを理解しない周囲が悪いですね」

本当はHSPじゃないけど、「自分が生きづらいのはHSPのせい」と思いたい人。

そんな人たちが集まっている印象が…あるのだなあ。

そんな「（自分のせいじゃないのに）救われないと感じる人たち」へ、

あなたは悪くない。全部HSPのせいだから
あるいは、HSPを理解しない社会が悪い

と、ちょうど手軽な回答を用意して、気持ちよくさせて稼ぐユーチューバー。